血栓溶解療法

急性心筋梗塞の治療(再灌流療法)には、詰まった血栓を薬剤で溶かす血栓溶解療法と、カテーテル治療により再灌流を得るPCI(Percutaneous Coronary Intervention)とがある。血流の度合いを示す指標TIMI分類のTIMI 3が得られるように治療を行う。

血栓溶解療法とは?

急性心筋梗塞を発症すると、血栓により血流が途絶え心筋が壊死してしまう。一度壊死した心筋は再生しないため、できるだけ早く血流を回復させ心筋の壊死を最小限に留めることが必要である。

血栓溶解療法は、血栓を溶かす血栓溶解薬(ウロキナーゼやt-PA製剤)によって再灌流を得る治療法である。血栓溶解薬は静脈注射する場合と、カテーテルにより閉塞部へ直接流し込むPTCR(経皮的冠動脈血栓溶解療法=PTCR: percutaneous transluminal coronary recanalization)とがある。血栓溶解療法の副作用に出血があげられる。そのため、出血性脳梗塞の既往のある患者、1年以内に脳梗塞、脳出血を起こしている患者などは禁忌とされている。

Door-to-needle-timeは病院到着から血栓溶解療法開始までの時間、Door-to-balloon-timeは病院到着から初回バルーン拡張までの時間を意味し(Door-to-device-timeとも言う)、それぞれ30分以内、90分以内と日本循環器学会のガイドラインで定められている。発症から12時間以内に血栓溶解療法を行うことが適切とされている。 ガイドライン詳細はこちら

血栓溶解療法後にPCIを行う方法と、血栓溶解療法をせずにPCIを行う、プライマリーPCIがある。さらに、PCI後に末梢に流れた血栓がno-reflow減少や末梢塞栓を引き起こすことから、血栓吸引カテーテルや末梢保護デバイスによる血栓吸引療法も併用されることがある。

血栓溶解薬

ウロキナーゼ

プラスミノーゲンをプラスミンに変換し、血液凝固を起こすフィブリンを分解することで血栓を溶かす。プラスミンは血栓を溶かす作用を持っている。従来はウロキナーゼが広く使われていたが、最近ではt-PAが使用されることが多くなっている。

t-PA(tissue-plasminogen activator:組織プラスミノゲンアクチベーター/活性化因子)

プラスミノーゲンがプラスミンに変換するのを促す薬。発症後6時間以内に使用しなければならない。一般名はアルテプラーゼ。

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