PTCAバルーンカテーテルの種類と基礎知識
虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)の治療には、先端に小さなバルーンの付いたカテーテルで血管の狭窄・閉塞部を膨らますPTCA(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty, 経皮的冠動脈形成術)が行われる。PTCAバルーンには様々な種類があり、病変によって使い分けされている。
PTCAバルーンカテーテルの種類は?
カテーテルの構造によって2つのタイプに分かれる。なお、冠動脈用のバルーン径は1.25〜5.0mmの範囲が一般的である。
オーバーザワイヤータイプ(OTW, over the wire type)
バルーンカテーテルの先端から手先までカテーテル全体にガイドワイヤーが通る構造になっている。ガイドワイヤーの交換がしやすいことが利点。また、ガイドワイヤーがカテーテル内を通っているため、Rapid Exchangeタイプに比べてバックアップ力が強く、病変通過性が高い(カテーテルを押し込みやすい=pushability)。ガイドワイヤーを病変部に残したままバルーンカテーテルを抜去する場合は、交換用の延長ワイヤの取り付けなどが必要になる。
ラピッドエクスチェンジタイプ(モノレールタイプ、RX type: Rapid exchange type)
カテーテルの先端部にだけガイドワイヤーが通る構造で、ガイドワイヤーポートからガイドワイヤーが出るようになっている。バルーンが通過しなかったときに、別のバルーンに簡単に交換ができるのが利点。現在はほぼこのタイプが使われている。
スコアリングバルーンとは?種類と使用方法
スコアリングバルーンとは、バルーンの外側に沿ってワイヤーやナイチノール製のスコアリングエレメントが何本か付いたバルーンで、病変に亀裂を入れて拡張することができる。通常のバルーンに比べて低圧で拡張することができる。
石灰化病変に使用
石灰化病変では普通のバルーンが広がりにくいが、スコアリングバルーンでは亀裂を入れて拡張することができる。カッティングバルーンの方が強力なため、さらに拡張しやすい。
ISR病変に使用(In-stent restenosis: ステント内再狭窄)
新生内膜は柔らかくてつるつるしているため、普通のバルーンを拡張すると滑って病変からズレて血管を傷つけてしまう。スコアリングバルーンは刃が引っかかり、ISR病変を拡張するのに有効。
各社のスコアリングバルーン
Angiosculpt(ボルケーノ)、Scoreflex(オーバスネイチ)、Lacrosse NSE(グッドマン)などがある。
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