エゼチミブ(製品名:ゼチーア)
エゼチミブとは、脂質異常症の治療薬で、MSD株式会社が製造するゼチーア(Zetia)という製品。コレステロール値を下げる薬として、広く使用されているスタチン系薬剤とは作用機序が異なる薬である。
脂質異常症とは?コレステロール値はどのくらい?
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年では、空腹時採血で下記の数値を脂質異常症と定めている。
- LDL-C 140mg/dL以上 …高コレステロール血症
- HDL-C 40mg/dL未満 …低HDLコレステロール血症
- 中性脂肪 150mg/dL以上 …高トリグリセライド血症
- ※LDL-C 120-139mg/dLは境界域高LDLコレステロール血症
エゼチミブの作用機序
適応は高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、ホモ接合体性シトステロール血症。
肝臓でのコレステロール合成を抑制するスタチン系薬剤とは異なり、食事から得られるコレステロールや肝臓から分泌される胆汁酸(コレステロールから作られる)を小腸で吸収するのを抑制することで、血中コレステロールを減らす効果がある。小腸壁の細胞には小腸コレステロールトランスポーターというコレステロールの吸収に働くタンパク質があり、この小腸コレステロールトランスポーターの働きを阻害することで吸収を54%低下させると報告されている。
腸肝循環とは?
生体物質や化学物質が肝臓→小腸→肝臓というように、肝臓と小腸の間を胆汁とともに循環する仕組み。肝臓で生成される胆汁は、成人で600-1200ml/日分泌され、胆管を通って胆嚢で蓄えられ濃縮される。次に十二指腸に分泌され、小腸で再吸収/排泄され、栄養素を吸収した血液は門脈を通ってまた肝臓に戻る。
この腸肝循環の仕組みにより、エゼチミブは小腸で長時間作用するため1日1回投与が可能となっている。
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