LDLアフェレーシス(LDL吸着法)

LDLアフェレーシス(アフェレシス)は、主に薬物療法がほとんど効かない家族性高コレステロール血症ホモ接合体や重症のヘテロ接合体の患者に対し、血液の中からLDLコレステロールを除去しコレステロール値を下げるために行われる治療法ある。

LDLアフェレーシスとは

LDL(low density lipoprotein)は動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールを指し、アフェレーシス(apheresis)はギリシャ語で「分離」を意味する言葉である。

LDLアフェレーシスは血液を体外へ出し、血漿分離機により血液と血漿を分離し、その血漿の中から動脈硬化症の原因となるLDLコレステロールを取り除き、再び体内に戻す治療法である。

アフェレーシス療法には、もともと血液と血漿を分離し、その血漿を廃棄して代わりにヒト凍結新鮮血漿(ヒトアルブミン製剤)を体内に戻すという血漿交換法(Plasma exchange: PE)が行われており、これは生体に必要な成分も除去してしまうことが問題であった。しかし、現在では技術が発達し、血漿から原因成分だけを膜濾過や吸着により除去する二重膜濾過血漿交換法(Double filtration plasmapheresis: DFPP)、LDL吸着法が行われるようになった。LDL吸着法では吸着カラムとリポソーバーを使用する。

アフェレーシス療法は、循環器疾患だけでなく、自己免疫疾患や肝炎などの肝疾患、腎疾患等、幅広い疾患の治療として行われている。

LDLアフェレーシスを受ける患者とは?LDLアフェレーシスの適応は?

LDLアフェレーシスは以下の病気に保険適用が認められている。
・家族性高コレステロール血症(FH)ホモ接合体患者
・難治性の家族性高コレステロール血症(FH)ヘテロ接合体患者(薬物治療を行っても血清総コレステロール値が250mg/dL以下に低下せず、明らかな冠動脈硬化がある場合)
・Fontaine分類U度以上の閉塞性動脈硬化症(ASO)
・難治性のネフローゼ症候群(巣状糸球体硬化症(FGS:focal glomerular sclerosis)

LDLアフェレーシス治療の流れ

血液を体外へ取り出すため、頸部や大腿部(太ももの付け根)の静脈にカテーテルを挿入する。この部分をブラッドアクセスと呼ぶ。

分離器を通して血液を体外循環させ、LDLコレステロールを除去した血液を体内に戻す。1回の治療で約2〜3時間かかり、一般的に2週間に1回のペースで行う。治療中は横になって安静にしている必要があり、血圧、脈拍、心電図などを病院スタッフが確認しながら行う。

LDLアフェレーシスにより、コレステロール値を安定化させることで、動脈硬化による冠動脈疾患や末梢血管疾患を防ぐことが期待される。

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