SPP: Skin Perfusion Pressure

下肢虚血を評価する方法は、ABI、血管エコー、経皮酸素分圧測定(tcpO2)など様々あるが、その中でも虚血が特に進行している重症下肢虚血(CLI)の評価にはSPPが使用される。このページでは、SPPの測定方法や重症下肢虚血の治療について説明する。

SPPとは?

SPPはSkin Perfusion Pressureの略で、皮膚組織灌流圧を意味する。末梢血管領域の治療において、特に重症下肢虚血の重症度(血流動態)を評価する検査のこと。レーザードップラーにより、皮膚の微小循環を測定する。レーザー光が皮下組織に照射されると、微小循環内の血球や組織で反射し、その反射レーザー波を測定して皮膚灌流圧を数値化する。

ABIと異なり、血行を調べたい部位で測定ができ、また、毛細血管の血流まで調べることができる。石灰化の影響も受けないため、糖尿病患者や透析患者にも監査が可能。製品にはKanekaのPAD4000がある。

SPPの活用法
難治性潰瘍の血流評価
虚血性潰瘍の治癒予測
血行再建術のモニタリング
PADスクリーニング(とくに糖尿病・透析による石灰化症例)
下肢切断レベルの判定
(株式会社カネカメディックスホームページより)

SPPの測定方法

手足が心臓と同じくらいの高さになるようベッドに仰向けに寝てもらう。検査したい部位にレーザーセンサを設置し、上からカフを巻く。カフの加圧により一旦血流を止め、カフを徐々に減圧したときに血流が回復するカフ圧をSPPとする。測定中に患者さんが動くと(会話も含む)正確な結果が得られないため、安静な状態で検査をするよう注意する。検査の所用時間は30分程度。

SPP値について
SPP<30mmHg 重症虚血肢、血行再建が必要
SPP≧40mmHg 潰瘍治癒はおそらく可能
仰向けの状態で、正常値は80-90mmHgとされる。
SPP≦50mmHg以下の場合はPADが疑われ、SPP≦40mmHgでは、創傷治癒は困難と言われている。

虚血評価後の治療方針は?

血行再建術が実施出来ない場合は、LDLアフェレーシスにより創傷管理をする。重症虚血肢の場合、まず血流の改善が必要となる。血行再建術(カテーテルによるEVT、外科的バイパス術)により血流が改善されれば、壊死組織を外科的に取り除き清浄化して、肉芽形成を促進するデブリードマンを行い創傷管理をする。重症虚血肢の治療には、血液をカテーテルを通して体外へ出し、機械を通して浄化して体内に戻すLDLアフェレーシスという治療法もある。浄化による血中の脂質・血液粘度の改善、血管拡張作用などにより血流改善が期待できるとされている。

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