血管内超音波(IVUS: intravascular ultrasound)

超音波を発信・受信する装置を先端に取り付けたカテーテルを血管内に挿入する。血管の内径・外径、血管壁の構造、分岐の情報などを得るのに優れている。留置したステントの血管に対する密着の有無を確認するのに用いる。

IVUSの種類

IVUSでは血管の三層構造まで見ることができ、深部到達度は4-8mm程度。IVUSの画像分解能には限界があり、表層の微細な病変の描出は不良。プラーク量の大まかな測定、ステント挿入時のステントサイズの決定、ステント拡張程度の判定に有用である。10倍の解像度のOCTでは微細な構造を描出できる。新生内膜被覆状況や不安定プラークの線維性被膜などがわかる。しかし、深部到達度が2mm程度で遠くの情報まで映し出すことがきない。

機械走査式

カテーテルの先端にトランスデューサーがあり、プローブが回転しながら撮影する。モノレール構造でガイドワイヤーに沿って挿入する。トランスデューサー周囲にエアが入らないようにカテーテル内に生理食塩水を入れてフラッシュする。画質は機械走査式の方が良い。
ボストンのOpticross、テルモのVisiwave

電子走査式

カテーテル先端の全周にトランスデューサーが付いているので、カテーテル自体を回転せずに撮影できる。そのため、回転ムラ(NURD)がない。アーチファクトはデジタル処理で消すことができる。
ボルケーノ社のEagle eye

IVUSのアーチファクト

画像の乱れのことをアーチファクトと呼ぶ。

NURD(Non-Uniformed Rotational Distortion)

正確に回転しないことによる画像の歪み。
高度屈曲病変や、ガイドカテの屈曲などが影響している。

Ringdown atrtifact(リングダウン)

トランスデューサーの振動が原因でカテーテルに沿って見える白い輪のこと。
フラッシュにより防ぐ。

周波数よる違い

高周波数では分解能は高い一方、減衰が激しく遠くまで届かないという特性がある。冠動脈用では昔は20MHzだったが、現在では35-40MHzのものが使われている。低周波数のものは血管の太い末梢血管に適している。

減衰(Attenuation)とは?
石灰化などにより、それより先が黒くなり情報が写らない状態のこと。超音波は硬いものは通らないため、石灰化などにぶつかるとその先は映さない。
石灰化だけでなく減衰像が見られることもあり、Attenuation plaqueはソフトプラークでつぶれやすい。

TCFA

…薄い線維性被膜を持つ破れやすいプラーク(Thin-cap Fibroatheroma)
VH-IVUS(Virtual Histology IVUS)はプラークの構成成分に色を付けてくれる

・線維性成分:緑
・脂質成分:黄緑
・壊死性成分:赤
・石灰化成分:白

不安定プラークは脂質・壊死性成分が多い=黄緑・赤
安定プラークは線維性成分が多い=緑

※ACSで運ばれてきてプライマリーPCIをやったあとにTCFAが見つかったら?
@シーリングでつぶしてしまう
AStrongスタチンによる保存的治療/HDL-Cを上げる

IVUSの活用法

治療前(pre pullback)
病変の評価
造影と対比して病変部を把握する

ステント留置前
血管径と内腔径、Distal〜Proximal Referenceの距離を計測してステントサイズを決める

治療後(post pullback)
MSA(Minimum Stent Area)を計測する
Stent edge dissection、Malapposition、Hematomaがないか確認する

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