OCT(Optical Coherence Tomography, 光干渉断層法)

OCTとは、Optical Coherence Tomographyの略で、光干渉断層法のことである。近年、血管内治療で広く使用されるようになったOCTは、もともと眼科で先に取り入られており、網膜や黄斑部の診断に用いられている。血管内治療においては、非侵襲的に血管表面の微細組織を画像化することができる画像診断モダリティである。

OCTの特徴

OCTの画像分解能は10〜20μmという高さで 、IVUSの約10倍の解像度であるため、石灰化や血栓の評価に優れている。不安定プラークの薄い線維性被膜やステント留置後の新生内膜の被覆状態などの詳細な組織性状を観察することができる。IVUSでは観察できない血管の三層構造(外膜・中膜・内膜)も観察が可能である。

撮影の仕組みは、近赤外線と干渉計を用いて血管表層の微小な組織を描出する。血管表面の観察に優れる一方で、画像の深部到達度が低くIVUSのように血管径の大きな箇所では全体像を観察することが難しい。IVUSは広範囲に描出することができるため、血管径やプラークの分布の評価に有用である。

OCTの種類:FD-OCTとTD-OCT

計測方法の違いで、FD-OCTはfrequency-domain optical coherence tomographyの略で時間領域法、TD-OCTはtime-domain optical coherence tomographyの略で周波数領域法を意味する。

FD-OCTはフーリエOCTとも呼ばれ、さらにSD-OCT (Spectral-domain OCT)とSS-OCT (Swept source OCT)に分類される。TD-OCTは1回のスキャンで1点の情報しか得られないが、SD-OCTは深さ方向の情報が全て得られるため、画像獲得の時間が10〜100倍速くなる。また、より鮮明な画像の描出が可能である。

また、最近ではコンピュータ画像処理技術によりOCT断面画像の3D化して観察することが可能となった。分岐部へのステント留置時などでの活用が期待されている。

OCTの撮影方法

初期のOCTでの撮影時は、オクルージョンカテーテルのバルーンを拡張して血流を遮断し、ラクトリンゲル溶液などでフラッシュして血液を排除した上で、病変の末端部分まで入れたイメージングカテーテルをプルバックして撮影していた。フラッシュが必要な理由は、近赤外線は赤血球成分で乱反射と減衰が起きてしまうためである。

オクルージョンバルーンでの拡張時に、心電図変化、胸痛に注意する。また、フラッシュの際にエアが混入しないよう、エア抜きをしっかりすることが必要であった。

FD-OCTが導入されてからは、オクルージョンバルーンによる血流遮断は必要なくなり、短時間の造影剤のフラッシュで撮影が可能となった。

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