糖尿病の合併症

糖尿病は様々な合併症を引き起こす恐い病気である。ここでは、主な合併症について説明する。

糖尿病の3大合併症

糖尿病の3大合併症には、神経障害、網膜症、腎障害があり、これらは毛細血管系の障害で細小血管障害と言われる。これとは逆に、比較的太い血管の障害を大血管障害と呼び、虚血性心疾患、壊疽、脳梗塞などの合併症が挙げられる。

糖尿病だけが原因で発症することは少なく、高血圧や高コレステロール症などが加わると、発症のリスクが高まる。これらの合併症をまとめて「しめじの心臓」と覚えることがある。重要なことは、糖尿病が原因で死亡するのではなく、糖尿病により発症する合併症で死亡することがあるということ。

糖尿病の診断方法

糖尿病の診断は、HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)値の測定によって行われる。高血糖状態が長期間続くと、血管内の余分なブドウ糖は体内のタンパクと結合をする。赤血球のタンパクであるヘモグロビンとブドウ糖が結合したものがグリコヘモグロビンと呼ばれ、その一種がHbA1cである。糖が存在すると生成されるので、血糖値が高ければHbA1cの値も高くなる。

赤血球の寿命は約120日であるため、HbA1cは1〜2ヶ月の血糖値の変動を見ることができ、前日の糖分摂取や血糖値低下に左右されないのがポイントである。

2012年4月1日より、国際標準値NGSP値を採用しており(以前はJDS値)、HbA1c値が6.5%以上で糖尿病と診断される。2013年に開催された第56回日本糖尿病学会年次学術集会では、「熊本宣言2013」が発表され、患者ごとに血糖管理目標を設定することが推奨された。合併症の予防のためにはHbA1c値を7%未満に保つことが目標とされた。これは、熊本スタディから、HbA1c値が6.9%未満であれば、3大合併症の発症リスクが低いことが報告されたためである。

糖尿病性腎症

慢性の高血糖状態が続くことで起こる細小血管障害の1つ。微量アルブミン尿(たんぱく尿)、腎機能障害、高血圧、浮腫、最終的には腎不全になる。尿中微量アルブミン尿を早期に診断し、厳格な血糖コントロールが必要である。

尿中アルブミンとは?

糖尿病性腎症の早期発見マーカーである。健常者は1日30mg/日未満のアルブミンが尿中に排泄されているが、糖尿病性腎症の早期はそれが微増する⇒微量アルブミン尿:約30〜300mg/日

これは尿試験紙では検出が困難で、免疫比濁法や免疫比ろう法などの高感度検出法によって測定する(1日分の尿を溜めて計測)。ただし、この検出法は大変なので、正確性は落ちるが、外来で排泄した尿の中のアルブミンとクレアチニンを測定して一定量が尿に排泄されるクレアチニンに対するアルブミンの比を計算する方法もある(UACR)。健常者は20μg/mg未満であり、これ以上は微量アルブミン尿にあたる。

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