止血デバイス
血管のカテーテル検査・治療の際、カテーテル挿入部である穿刺部の止血は、穿刺部位によって方法が異なる。一般的に手で押さえる圧迫止血(用手止血)が従来行われているが、これには数時間要するため様々な止血デバイスが開発されている。
PCI時の穿刺部止血
穿刺部合併症の少ない橈骨動脈アプローチでは、TRバンドによる止血が多く行われている。バルーンを膨らませて圧迫止血ができるデバイスである。徐々に空気を抜きながら止血をしていく。圧迫止血では、15〜20分程度用手圧迫をした後、止血を確認しながら圧迫を徐々に弱め、テープで固定し3時間安静にしている。
鼠径部の大腿動脈アプローチでは、出血も多く穿刺部合併症の可能性が高いため注意が必要である。現在使用されている止血デバイスの種類としては、セント・ジュード・メディカル社のアンジオシール(Angioseal)、コーディスのエクソシール(Exoseal)がある。生体吸収性のコラーゲンやポリグリコール酸により血管壁の外側を塞ぎ止血するデバイスである。他に、血管壁を非吸収性の縫合糸で直接縫合するアボット社のバークローズPROGLIDE(Perclose)がある。
石灰化や屈曲が厳しい病変では、止血材がしっかりと密着せず、仮性動脈瘤や止血不全を引き起こす可能性があるため、血管状態を十分に評価したうえでの使用が必要である。また、止血材の一部がはがれ血管狭窄を引き起こすこともある。これらの止血デバイスは止血時間の短縮には有効とされているが、穿刺部合併症の減少における有効性についてはまだ十分証明されていない。
止血デバイス、アンジオシールとは?
アンジオシールは総大腿動脈の穿刺部専用の止血デバイスで、縫合糸でつながれたアンカーとコラーゲンスポンジにより、穿刺部を血管壁内側と組織側から挟み込み止血する。留置後用手圧迫が不要になる。コラーゲンが凝固反応を促進するため、早く止血が可能。体内に留置されたアンカー、コラーゲンスポンジ、スーチャーは生体吸収性のため、60〜90日で生体に溶けてなくなる。
穿刺部合併症(血腫、仮性動脈瘤)
カテーテルやシース抜去時の止血が不十分だと、皮下血腫や仮性動脈瘤が起こる可能性がある。
皮下血腫は、血の固まりができること。仮性瘤につながるので、血腫が見られたらしっかり圧迫することが必要。仮性動脈瘤は、穿刺部の孔が塞がらず、血管壁から血液が漏れ出し、血管周辺に瘤状の血液の固まりができること。外科的な処置が必要になることがある。
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