PCI(Percutaneous Coronary Intervention)とはどのような治療か?
PCIの治療時間は約1時間、入院3〜6日程度で実施できる。一般的なPCIの流れやアプローチ法、合併症についてを説明する。
一般的なPCIの流れ
まず、シースやカテーテルに血栓が付かないよう、ヘパリン(抗凝固液)を静脈に投与する。
- @局所麻酔後、穿刺。シース挿入。
- Aガイディングカテーテルを冠動脈入口まで持っていく。造影にて狭窄部を確認する。
- Bガイドワイヤーを狭窄部に通過させる。
- Cバルーン付カテーテルで拡げる。
- D造影して拡がっているのを確認したらステントを留置する。
- Eステントの乗っていたバルーン、ガイドワイヤーを抜き、カテーテルを抜いて終了。
カテーテル挿入の3アプローチ
大腿動脈から(TF: Transfemoral)
昔は太いカテーテルしかなかったこともあり、ほとんどこのアプローチ法だった。血管が太く、挿入しやすい。しかし、術後すぐに歩けないという難点がある。
上腕動脈から(TB: Transbrachial)
最近は少ない方法である。すぐ下に神経があるので傷つける危険がある。
橈骨動脈から(TRI: Transradial Intervention)
血管が細いため技術が必要だが、止血の痛みや時間が少なく、術後すぐに歩けて日帰りできるなど、患者さんの苦痛が最も少ない方法。現在では細いカテーテルがあり、一番多く用いられている。
※大腿動脈は約10mm、橈骨動脈は約3mm。
PCIの合併症
急性心筋梗塞(AMI)…病変部のプラークが飛んでいき、その先の血管に詰まって完全閉塞するとAMIになる。
大動脈解離…ガイドワイヤーの挿入ミスで大動脈を傷つけると、内膜が裂け、中膜と外膜の間に血液が流れ込む。血が溜まると瘤になったり、真腔を狭くさせたりする。
急性冠閉塞(POBA時代)…バルーンで拡げたときに冠動脈の内膜がはがれ(解離)、その膜とそこにできた血栓により冠動脈が詰まってしまう。そのままにすると急性心筋梗塞になる。
急性冠閉塞を防ぐためにステントが開発された。バルーンによる亀裂を金属の筒で支えることができ、再狭窄も防ぐことができる。しかし、ステントを入れると亜急性冠閉塞(SAT: Subacute Thrombosis)の合併症が出てきた。SATは術後2週間程度の間にステントに血栓がついて閉塞すること。ステント血栓症は抗血小板療法により予防をする。
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