DVT: Deep Vein Thrombosis 深部静脈血栓症
いわゆるエコノミークラス症候群
主に(四)肢深部静脈の血栓性閉塞により、静脈の還流障害、肢のうっ血を来すもの。この血栓が右心房⇒右心室⇒肺動脈まで運ばれてきて肺塞栓症(PE: Pulmonary Embolism)の原因となる。肺塞栓症は死亡率が高い。
★深部静脈血栓症+肺塞栓症=静脈血栓塞栓症
原因
抗リン脂質抗体症候群(APS: Antiphospholipid syndrome)
抗リン脂質抗体という自己抗体が出現することにより、血栓傾向となる。極めて高頻度に見られる後天性疾患で、血栓症を繰り返したり不育症が特徴である。
全身的、局所的な静脈血流の停滞
ロングフライト、ねたきり、妊娠、手術後の入退院生活等によって起こる。下肢の整形外科手術を受けた人はリスクが高いと報告されている。
Iliac Compression Syndrome(ICS) 腸骨静脈圧迫症候群
別名: May-Thurner症候群
左総腸骨静脈が右総腸骨動脈と交叉する部分で腸骨静脈が圧迫され、血流障害が起き血栓形成、左下肢のDVTを招く。
血管内皮障害
外傷、骨折、カテーテル挿入など
肺塞栓症の治療法
1. 薬
抗凝固療法
出血性の合併症がない場合、ヘパリン(皮下注射)、ワルファリン(経口)
2. カテーテル治療
血栓溶解療法、血栓吸引術、破砕術
3. 外科治療
血栓摘除術
予防としてのIVCフィルター留置
IVCフィルターとは、Inferior Vena Cavaフィルターのこと。 脚の静脈にできた血栓がはがれて肺まで流れ、肺塞栓を起こすため、これを予防するため血栓をとらえるフィルターを留置する。血栓の場所にもよるが、大腿静脈合流部より上、腎動脈より下に留置する。アプローチサイトは大腿動脈と頸動脈。
以前は永久留置型のみであったが、非永久留置型が開発された。永久型は長期的には異物とみなされ深部静脈血栓症を増やすことがあると報告されたため。
【一時留置型】
体外から細いシャフトが伸びていて、フィルターの役目が終わるとシャフトを使ってフィルターを取り出せる。
【回収可能型】
一度静脈内に留置されたフィルターを後日折りたたんで回収できる。
唯一のランダム化試験であるPRERIC研究では、永久型と非永久型フィルターで2年間追跡し、慢性期のDVT再発が永久型で高率だったことが報告されている。フィルター自体が異物として、血栓形成の原因になりかねないという危険性を示した。
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