ABI: Ankle Brachial Index

下肢血管の動脈硬化の程度を測定する方法に、ABI検査がある。動脈硬化は放っておくと心筋梗塞を引き起こす可能性があるため、脂質異常、糖尿病、高血圧患者や喫煙者のようなハイリスク患者は、ABI検査を受けて血管の状態を測定することが推奨される。

ABI検査とは?

ABIは足関節上腕血圧比のことで、足首と上腕の血圧を同時に測定して、その比率から動脈硬化の程度を測定する検査のことを言う。通常の場合、横になった状態で両腕と両足の血圧を測ると足首の方がやや高くなる。動脈硬化は腕より脚の血管で起こりやすいため、動脈硬化が進んでいると足首の血圧は低下する。よって、この比率を測ることにより血管閉塞の程度がわかり、PAD(末梢動脈疾患)の早期発見に有用とされている。

ABI=足首の最高血圧÷上腕の最高血圧
ABIは標準で1.0-1.3であり、0.9以下の場合は下肢血管の動脈硬化(血管の狭窄、閉塞)が疑われる。一方で、1.3以上の場合は石灰化の可能性がある。詳細の評価基準は下記の通り。
ABI<0.9…狭窄または閉塞の疑いあり
ABI<0.8…高率で狭窄または閉塞の疑いあり
0.5<ABI<0.8…閉塞が一箇所ある可能性あり
0.5<ABI…閉塞が複数箇所ある可能性あり
ABI>1.3…動脈に石灰化の疑い

ABIの測定方法

検査前に安静にしておく必要がある。検査時はベッドの上で仰向けになり、両側の腕と足首に血圧計を巻き、四肢の血圧を同時に測定する。所要時間は5分程度。通常の血圧測定とほぼ同様の簡単な検査で、痛みもなくコストも低い。
フクダ電子の血圧脈波検査装置VaSera(バセラ)では、CAVI(血管の硬さ、ABI、血管年齢の測定が可能。また、オムロンコーリン社製のformPWV/ABIもある。

PADの早期発見にはABI検査を

PAD(Peripheral Arterial Disease)は末梢血管疾患と言い、手や足の血管に動脈硬化ができる病気を意味する。PAD患者は、4割以上が心疾患・脳梗塞などその他の血管疾患を合併していると言われている。 歩行時に血流が不足することで脚に痛みが生じることを間欠性跛行と呼び、悪化すると安静時も痛みがあり(安静時疼痛)、最終的に潰瘍ができ壊死してしまう。 PADは約75%が無症候性で、自覚症状がなく気づきにくいため、ハイリスク患者にはABI検査を行いPADの早期発見につなげることが重要である。

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