慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH:Chronic Thromboembolic Pulmonary Hypertension)

慢性血栓塞栓性肺高血圧症とは、腕や脚などの静脈にできた血栓が心臓まで血流に乗って流れてきて、その血栓が器質化して慢性的に肺動脈を詰まらせ、肺高血圧になる病気。シーテフと呼ぶ。国の難病指定を受けている病気で、患者数は年々増加傾向にある。

静脈から流れてきた血栓は、右心室から肺動脈へ運ばれる。血栓により狭窄・閉塞した肺動脈の血圧が上がることで肺高血圧になる。正常では平均肺動脈圧が20mmHgを超えないが、CTEPHの場合は25mmHg以上になる。

肺高血圧(PAH:Pulmonary Arterial Hypertension)とは?

肺高血圧症には種類があり、大きく以下の5つに分けられる。先天性心疾患、肺疾患、膠原病などがある。

肺高血圧症が引き起こす心不全

肺高血圧になると、肺に血液を送る力がより必要になり右心室の心筋が厚くなる(右心が肥大する)。右心室への負荷が大きくなりその状態が続くと右心室が収縮できなくなり拡大したままになってしまう。最終的に右心室の機能が低下し右心不全となる。右心不全になると、肺に正常に血液を送り出すことができなくなり、全身の酸素・血液不足へとつながる。

CTEPHの症状は?

初期症状としては、日常の動作で息切れが起きるようになったり、呼吸困難やめまいなどもある。進行すると息切れや息苦しさが強くなり、せきや喘鳴の症状が出る。失神することもある。右心室の機能が低下すると、全身への血液循環が悪くなり、脚のむくみ、体重増加などが起きる。

CTEPHの治療法は?

肺動脈血栓内膜摘除術(PEA:Pulmonary Endarterectomy)

第一選択となる外科的治療。肺動脈の末梢に病変がある場合や、他の臓器に疾患がある場合は適応とならない。難易度の高い手術だが、CTEPHの根治的治療として確立された治療法である。

バルーン肺動脈形成術(BPA:Balloon Pulmonary Angioplasty)

バルーンにより詰まっている肺動脈を広げる治療。病変が中枢型でなく、PEAの適応とならない症例が対象となる。年齢や他の病気のためPEAができない症例がある。過拡張による血管損傷の合併症がある。

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