虚血性心疾患(IHD: Ischemic Heart Disease)の原因と病態を知る
虚血性心疾患とは、循環器の病気で、日本人の死因第2位とされる心疾患に含まれる。心臓の心筋に血液を送る冠動脈の血管が、動脈硬化などにより詰まり虚血を生じることで、心筋機能が低下、または停止してしまう疾患。狭心症(AP: Angina Pectoris)、心筋梗塞(MI: Myocardial Infarction)の2つに分かれる。それぞれの病態について説明する。
狭心症と心筋梗塞の違いは?
狭心症は血流不足が一時的なもの。胸痛が生じ、心臓の動きが低下するが、心筋が完全に壊死した状態ではないので回復が可能 ⇒可逆性。
心筋梗塞は血管が完全に詰まったり、急激に細くなることで心筋が壊死し回復できない状態 ⇒不可逆性。
心電図で見るST上昇型とは、心筋の壊死を表している。非ST上昇型は、心筋の表面のみが壊死した状態。
★心筋梗塞の詳細はこちら
狭心症は冠動脈内腔が75%以上に狭窄してから生じ、プラークがさらに大きくなり完全に閉塞して心筋梗塞が起こるとされてきたが、狭窄度50%前後でプラークが破裂して、狭心症の症状もなかった状態から急に心筋梗塞になることが多いと判明した。これらを急性冠症候群と呼ぶようになった。
AHA分類による狭窄度評価
Normal
25%(0-25%)
50%(26-50%)
75%(51-75%)
90%(76-90%)
99%(91-99%)
100%(CTO)
急性冠症候群(ACS: Acute Coronary Syndrome)
プラークの突然の破裂により、血栓が形成され、冠動脈内の血流が急激に減少・途絶して起きる。
- 1.不安定狭心症
- 2.急性心筋梗塞
- 3.心臓突然死
動脈硬化のメカニズム
加齢などにより、血管壁の弾力性がなくなり硬くなることで、血管がもろくなりプラークが蓄積したり、血管内壁に様々な物質が付着することで血管内腔が狭くなること。狭窄が起きると、血流が悪くなり、心筋に必要な酸素(血液)が行かなくなる。
1.高血圧や糖尿病により血管に負担がかかり、内皮細胞が傷つく
2.LDLが傷ついた内膜に入り込み、酸化LDLになる
3.それに反応した、免疫細胞の単球が内膜に入り込み、マクロファージになる
4.マクロファージが酸化LDLを食べ、死滅してプラークになる
5.中膜にある平滑筋細胞がプラークを囲んで増殖し、内膜が盛り上がる
6.プラークが破れ、血栓ができると血流が完全に途絶え、心筋梗塞になる
心筋梗塞の危険因子
- ・喫煙
- ・糖尿病
- ・高血圧
- ・高コレステロール血症
- ・肥満
- ・ストレスなど
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