冠動脈インターベンション(PCI)の歴史

日本での死因第2位である虚血性心疾患の治療には、PCIが広く行われている。デバイスが次々に開発され、今日では様々なテクニックが確立されているが、初めてのステントが使われるようになったのは約20年前と、意外と歴史の浅い領域である。このページではPCIの歴史を振り返る。

動物実験から冠動脈造影まで

1844

クロード・ベルナール(フランス)が馬の心臓にカテーテルを通す実験を行った。

1929

フォルスマン(ドイツ)が初めてヒト(自身)の心臓にカテーテルを通して、レントゲン写真を撮影した。心臓カテーテル法のきっかけを作ったとして、1956年にはノーベル賞を受賞した。

1958

メイソン・ソーンズ(アメリカ)が、冠動脈造影法を発明。当時、冠動脈に直接造影剤を注入すると心停止すると信じられていたが、偶然の出来事で冠動脈造影が可能なことを発見したソーンズは、X線撮影装置を改良し安全な冠動脈造影法を確立した。ソーンズ法は、上腕動脈切開法。

1962

RickettsとAbramsが、皮膚を切開せずに経皮的に大腿動脈を穿刺し、ガイドワイヤーでカテーテルを挿入するセルジンガー法で冠動脈を造影するのに成功した。

診断から治療へ、PCIの始まり

1964

チャールズ・ドッター(アメリカの放射線科医)が、初めてカテーテルによる血管内治療に成功した。それまでカテーテルは、診断として使用されるのみであったが、ドッターはASOにより足が壊死しかけた高齢女性の足に対し、閉塞部位にガイドワイヤーを通し、カテーテルを2重に重ねて通して押し拡げる手技を行った。その後、現在のステントの原型となるコイルスプリングの留置によって再狭窄を防ぐ方法も開発した。

1967

ジャドキンスが、経皮的に大腿動脈よりカテーテルを挿入する方法を確立した。左右の冠動脈を造影できる先端形状を工夫したカテーテルを開発した。

1977

Andreas Gruentzig(スイス)が世界で初めてバルーンによる冠動脈形成術(POBA)を成功させた。

1986

冠動脈ステントが登場し、ステント治療が始まった。これによりPCIの成績は飛躍的に向上した。

1994

初のステント(Palmaz-Schatz ステント)がFDA承認を獲得。

2002

初の薬剤溶出ステント(DES)がCEマークを獲得。

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