PCI(冠動脈インターベンション)
虚血性心疾患の治療には、体の他の血管を使用して狭窄・閉塞している部位の前後をつないで迂回路を作る冠動脈バイパス手術と、細い管のカテーテルを血管に通して狭窄部位までデバイスを運び拡張するPCI(冠動脈インターベンション)という方法がある。それぞれメリット、デメリットがあり、病変の状態により適応が異なる。
PCIに関する基礎知識
虚血性心疾患に対するカテーテル治療のことを、Percutaneous Coronary Intervnetion(PCI)と呼ぶ。動脈硬化により狭窄・閉塞した冠動脈をカテーテルに乗せたバルーンにより拡張し血行再建を行う治療法である。
心臓の仕組みと働き
心臓は全身に血液(酸素と栄養素)を送り出すポンプの役割をしている。ここでは、心臓のつくりとその働きを説明する…
PCIの歴史
日本での死因第2位である虚血性心疾患の治療には、PCIが広く行われている。デバイスが次々に開発され、今日では様々なテクニックが確立されているが、初めてのステントが使われるようになったのは約20年前…
SYNTAXスコア
SYNTAXスコアが作られた背景冠動脈病変の重症度は罹患病変枝数や左前下行枝近位部の有無によって評価されてきた。しかし、同じ三枝病変であっても重症度に幅があることは臨床現場で認識されていた。こ…
PCIにおける画像診断
虚血性心疾患の診断には、まず、心電図検査や心エコー検査などが行われるが、病変の部位、形態などさらに詳細な情報を調べるために、様々な画像診断モダリティが使用されている。
心臓カテーテル検査
心臓カテーテル検査には右心カテーテル法と、左心カテーテル法がある。左心カテーテル法は、冠動脈造影と左室造影の2つを指す…
血管内超音波(IVUS: intravascular ultrasound)
IVUSとは超音波を発信・受信する装置を先端に取り付けたカテーテルを血管内に挿入する。血管の内径・外径、血管壁の構造、分岐の情報などを得るのに優れている。留置したステントの血管に対する密着の有無を…
血管内超音波(IVUS: intravascular ultrasound)
血管内視鏡
血管内腔面をフルカラー、高解像度、3次元の直視に近い画像として捉え、肉眼的病理診断が可能。CAGでは血管内腔の形状認識のみで病態は見ることができない。内視鏡で何を見るか?黄色プラークや血…
FFR: 心筋血流予備量比
狭窄病変により、病変遠位部の血流量が正常時の何%になっているか?=血流の圧較差を測定する。FFRの測定には、先端に冠動脈圧を測定するセンサーが付いたプレッシャーワイヤーを使用する。FFR=Pd/P…
FFR-CT
CTデータをもとに流体解析ソフトウェアを用いてCTA上でのFFRを計測する。カテーテル検査をせずに虚血を評価し、PCIの適応を判断することができる。…
PCIで使用するデバイス
PCIでは、病変部位までバルーンやステントを運ぶワイヤーから、狭窄部位を広げるバルーンやステントなど様々なデバイスが使用される。各メーカーから販売されているデバイスにはそれぞれ特徴があり、病変の部位や形態に応じてデバイスが使い分けられている。近年では、体内に異物を残さない方が予後が良いという考えから、生体吸収性や生分解性のステントも開発されている。
ガイドワイヤー
ガイドワイヤーに求められるもの−操作性(血管追従性)−病変通過性−トルク伝達性(1:1が理想)−先端硬度バラエティ★ガイドワイヤーが通過すればPCIは90%成功と言えるシェイピングカーブを付けると行きたい方向に行きやすくなる。…
バルーンカテーテルの基礎知識
虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)の治療には、先端に小さなバルーンの付いたカテーテルで血管の狭窄・閉塞部を膨らますPTCA(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty)がある…
薬剤溶出ステント(DES: Drug Eluting Stent)
基本構造1.プラットフォーム(ステントそのもの) 2.キャリアマトリックス 3.薬剤基本構造・slotted tubeタイプ…ラジアルフォースが強い、薬剤が均等に拡散しやすい・コイルタイプ…ラジアルフォースは弱いが…
薬剤溶出ステント(DES: Drug Eluting Stent)
ステント素材
冠動脈ステント初期に使われたPalmaz-Shatzステントはステンレススチールの適度な強度と塑性変形のしやすさがステントの形状とマッチしていたためと考えられる最近では、ステントの設計・加工技術が…
PCIの治療法と合併症
心臓カテーテル治療(Percutaneous coronary intervention)には、バルーンで拡張するだけのバルーン治療(POBA)、バルーンで狭窄部位を広げた後にステントを留置するステント治療、DCAやロータブレーターのように硬くなった石灰化病変を削るアテレクトミー治療、血栓性の病変には血栓吸引療法などがある。病変の種類に応じて、様々なデバイスの使い分け、治療法の選択を行う。
慢性完全閉塞病変(CTO: Chronic Total Occlusion)
"ガイドワイワーの発達、逆行性アプローチなどの手技の習熟によりCTO-PCIの初期成績は大きく改善した。また、DESの登場により再狭窄が大幅に減少し長期開存も望めるようになった。CTOの種類…
慢性完全閉塞病変(CTO: Chronic Total Occlusion)
血栓吸引療法
血栓吸引は日本では根付いた治療だが、海外では十分に評価されておらず、ネガティブなデータが報告されている。適応:冠動脈の血栓性閉塞・急性心筋梗塞…24時間以内の新鮮血栓・不安定狭心症…造影で血…
DCA(Direct Coronary Atherectomy:方向性冠動脈粥腫切除術)
バルーン形成術がスタンダードであった時代、急性冠閉塞や遠隔期の再狭窄(40-50%)が問題となっていた。これらを回避するために、1985年-1995年にかけて、ステント、ロータブレーター、DCAが開発された…
DCA(Direct Coronary Atherectomy:方向性冠動脈粥腫切除術)
冠動脈穿孔(Coronary perforation)
PCIの3大重大合併症(Major Complication)は心筋梗塞、緊急バイパス手術、死亡である。その他のMinor Complicationの1つに冠動脈穿孔がある。このページでは、冠動脈穿孔の原因と治療について…
造影剤腎症(CIN: Contrast-induced Nephropathy)
ヨード造影剤は注入直後に過敏症状が発現したり、時に重篤なショック症状を引き起こすことがある。これに加えて特に注意が必要なのは急性腎不全の発症である。通常は1週間程度で回復する可逆的な機能障害であるが、…
造影剤腎症(CIN: Contrast-induced Nephropathy)
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